1808年アメリカ大統領選挙
1808年12月6日までの法定の34日間の窓(1808年11月3日から12月6日)で選挙人が任命・選出された大統領選挙。現職大統領トーマス・ジェファーソンの後継として、民主共和党が国務長官ジェームズ・マディソンを、連邦党が前回1804年に続きチャールズ・コーツワース・ピンクニーを擁立した。現職副大統領のジョージ・クリントンは、自身の政党(民主共和党)の公認候補であるマディソンに対抗し、無所属(NARA表記「Independent D-R」)の立場で大統領選に名乗りを上げた。選挙人団では、マディソンが選挙人票122、ピンクニーが47、クリントンが6を得て、マディソンが当選した。NARAは選挙人の任命総数を176とし、その内訳(Total/Majority)を「176 (175)*/89」と表記した上で、脚注に「ケンタッキー州選出の選挙人1人が投票しなかった」と明記している。過半数89はfloor(176/2)+1で算出されており、これは任命総数176を分母とした計算であって、実際に投じられた票の合計175(122+47+6)を分母にした場合の88とは異なる。本シリーズはNARA自身が過半数の算出に用いている176をelectoral_totalとし、投票しなかった選挙人1人分を、候補者ではない合成行(result=対象外)として「投票しなかった選挙人(ケンタッキー州選出)」の名で計上している。クリントンは同じ選挙人団の別の投票(副大統領選)で選挙人票113を得て副大統領に再選された(対立候補: マディソン3・モンロー3・ラングドン9・キング47)が、本サイトの候補者表は1804年以降の副大統領選挙の結果を収録しない方針であり、ここでは背景情報として述べるにとどめる。この回の17州の内訳(候補・州とも1804年から変化なし)は、コネチカット・デラウェア・ジョージア・マサチューセッツ・ニューヨーク・サウスカロライナ・バーモントの7州が州議会選出、ケンタッキー・メリーランド・ニューハンプシャー・ニュージャージー・ノースカロライナ・オハイオ・ペンシルベニア・ロードアイランド・テネシー・バージニアの10州が住民投票(このうちケンタッキー・メリーランド・ノースカロライナ・テネシーは郡や選挙区単位の間接的な住民投票)。マサチューセッツは1804年の住民投票から1808年は州議会選出に戻った(1800年以降隔回で交互に変わる)。この時期は候補者別の全国得票という概念が実務上成立せず、NARA・米国勢調査局のいずれにもこの回の一般得票は記録されていない。
NARA(米国国立公文書館)の回次ページ(https://www.archives.gov/electoral-college/1808)の冒頭要約: President: James Madison [Democratic-Republican] / Main Opponent: Charles C. Pinckney [Federalist] / Other Opponent: George Clinton [Independent D-R] (6) / Electoral Vote: Winner 122 / Main Opponent 47 / Total/Majority 176 (175)*/89 / Vice President: George Clinton (113) / V.P. Opponents: James Madison (3); James Monroe (3); John Langdon (9); Rufus King (47) / Notes: *One elector from Kentucky did not vote./州別表(17州: CT, DE, GA, KY, MD, MA, NH, NJ, NY, NC, OH, PA, RI, SC, TN, VT, VA)のTotals行は「176 (175)*」/122/6/47/113/3/3/9/47(選挙人総数(任命/投票)/マディソン(大統領)/クリントン(大統領)/ピンクニー(大統領)/クリントン(副大統領)/マディソン(副大統領)/モンロー(副大統領)/ラングドン(副大統領)/キング(副大統領))であり、各州の大統領票の合計をこちらで検算したところ、マディソン122(内訳: GA6 KY7 MD9 NJ8 NY13 NC11 OH3 PA20 SC10 TN5 VT6 VA24)・クリントン6(NY6)・ピンクニー47(内訳: CT9 DE3 MD2 MA19 NH7 NC3 RI4)で、Totals行および州別合計(122+6+47=175)と完全に一致した。副大統領票も同様に検算し、クリントン113・マディソン3・モンロー3・ラングドン9・キング47(合計175)がTotals行と一致することを確認した。/本タスクの核心=Kentucky州の選挙人1人の非投票の扱い(運用手順書「1872年の『数えられなかった票』パターンを盲目的に複製しない」の判定基準を適用): NARAは選挙人の任命総数を176とし、Total/Majorityを「176 (175)*/89」と表記している。括弧内の175は実際に投じられた票の合計(122+47+6)であり、176は任命された選挙人の総数。過半数89は、176を基準にした計算(floor(176/2)+1=89)と一致し、175を基準にした計算(floor(175/2)+1=88)とは一致しない(NARAが実際に公表している過半数は89であって88ではない)。すなわちNARA自身が過半数の算出に176(投票しなかった1人を含む数)を分母として用いていることが、括弧の外に「176」を主たる総数として置き、「(175)*」を注記付きの副次的な数字として括弧内に置くという表記の順序自体からも、また過半数89の値そのものからも確認できる。これは1832年メリーランド州のケース(選挙人2人が投票行為自体を行わず、NARAの総数=286人にこの2人分を含まない。過半数もこの286を基準にした144であって、288を基準にした145ではない)とは正反対のパターンであり、むしろ1872年(ジョージア州の選挙人3人が死去した候補へ投票する行為自体は成立したが下院決議で不算入。それでもNARAの総数352にはこの3票を含む)・2000年(D.C.の選挙人1人が投票という行為として白票を投じて棄権。NARAの総数538にこの1票を含む)と同じ「投票という行為は成立しており、NARAの総数(=過半数の分母)にその票を含む」パターンに該当する。/この解釈は、米国勢調査局Series Y79-83(誌面1074ページ)の1808年の行が、独立した第三の資料として直接裏付けている: 同表は候補者3名(Madison 122 Democratic-Republican / C. C. Pinckney 47 Federalist / George Clinton 6 Independent-Republican)の下に、候補者ではない「(Not voted)」という行を単独で設け、electoral列に1を計上している(合計122+47+6+1=176)。すなわちCensus自身の統計書が、投票しなかった選挙人を「候補者への投票ではないが、選挙人票の総数を構成する1件」として明示的に数え上げの対象に含めている。これはNARAの表記だけに頼らない独立の確認であり、本シリーズが合成候補「投票しなかった選挙人(ケンタッキー州選出)」の行(electoral_votes=1・result=対象外)をcandidates.tsv・states.tsvの双方に置く判断の直接的な典拠になっている。また、Wikipedia英語版「1808 United States presidential election」の結果表も「Total 175 / Needed to win 89」という一見矛盾する数字の組を掲載しており(175を基準にすれば必要数は88のはずだが89と記載)、この記事も暗黙のうちに過半数の算出に176(投票しなかった1人を含む)を用いていることを傍証している。/州ごとの選挙人選出方式は、The Green Papers「By whom U.S. PRESIDENTIAL ELECTORS were appointed」の州別年表と、Wikipedia英語版「1808 United States presidential election」の「Electoral college selection」節の分類表の両方で確認した。両者は完全に一致し、コネチカット・デラウェア・ジョージア・マサチューセッツ・ニューヨーク・サウスカロライナ・バーモントの7州が州議会選出、残るケンタッキー・メリーランド・ニューハンプシャー・ニュージャージー・ノースカロライナ・オハイオ・ペンシルベニア・ロードアイランド・テネシー・バージニアの10州が住民投票であることを示す(Wikipedia本文も「Only 10 of the 17 states chose electors by popular vote.」と明記しており、10州という総数も一致する)。前回1804年からの変化点はマサチューセッツ1州のみ(1804年は住民投票、1808年は州議会選出。The Green Papers年表は1800年Legislature→1804年the People→1808年Legislature→1812年the Peopleと隔回で交互に変わったことを示す)。1804年に新規参加したオハイオを含め、17州の顔ぶれ自体は1804年から変化なし(次の新規参加はルイジアナ・1812年)。/vote_date_from=1808-11-03・vote_date=1808-12-06は、1792年連邦選挙法(act_1792)が定める「選挙人が投票する日=12月の第1水曜日」(1808年は12月7日)の34日前から1日前までという規定を、world_content.pyのlaw_basis=act_1792の検証式と同一の計算式で機械的に算出した値。
選挙人票の結果
縦線は多数派に必要な89票(総数176の過半数)。
州ごとの結果
候補者別の結果
| 候補者 | 政党 | 選挙人票 | 当落 |
|---|---|---|---|
| ジェームズ・マディソン James Madison1808年はマディソンの再選で、大統領選挙人票122(過半数89を大幅に超える)を得た。得票はNARA(米国国立公文書館・https://www.archives.gov/electoral-college/1808)の回次ページと、米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83(誌面1074ページ)の2出典で完全に一致する(マディソン122・ピンクニー47・クリントン6、合計175は実際に投じられた票の合計。NARAはこのほかに任命された選挙人の総数176を明記し、ケンタッキー州の選挙人1人が投票しなかったことを脚注で説明している。過半数89は176を基準に算出されている(floor(176/2)+1=89。175を基準にすると88になり、NARA自身の記載する89と食い違う)。詳しい判断根拠はrounds.tsvのnoteを参照。) 党派はNARA本文が明記する「James Madison [Democratic-Republican]」をそのまま採用した(米国勢調査局Series Yも同じくDemocratic-Republicanと明記)。副大統領は同じ選挙人団の別の投票でジョージ・クリントン(民主共和党・選挙人票113)が選ばれたが、1804年以降の副大統領選挙の結果は本サイトの候補者表に計上しない方針のため、ここには載せていない(rounds.tsvのnote・summaryを参照)。 | 民主共和党 | 122 | 当選 |
| チャールズ・コーツワース・ピンクニー Charles Cotesworth Pinckney1808年はマディソンの再選で、大統領選挙人票122(過半数89を大幅に超える)を得た。得票はNARA(米国国立公文書館・https://www.archives.gov/electoral-college/1808)の回次ページと、米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83(誌面1074ページ)の2出典で完全に一致する(マディソン122・ピンクニー47・クリントン6、合計175は実際に投じられた票の合計。NARAはこのほかに任命された選挙人の総数176を明記し、ケンタッキー州の選挙人1人が投票しなかったことを脚注で説明している。過半数89は176を基準に算出されている(floor(176/2)+1=89。175を基準にすると88になり、NARA自身の記載する89と食い違う)。詳しい判断根拠はrounds.tsvのnoteを参照。) 党派はNARA本文が明記する「Charles C. Pinckney [Federalist]」をそのまま採用した(米国勢調査局Series Yも同じくFederalistと明記)。氏名はNARA・米国勢調査局とも「C. C. Pinckney」と略記するが、1800年・1804年の前例(candidates.tsv)にならいフルネーム「Charles Cotesworth Pinckney」を採用した。副大統領候補として連邦党のルーファス・キング(選挙人票47)が同じ配分で落選したが、1804年以降の副大統領選挙の結果は本サイトの候補者表に計上しない方針のため、ここには載せていない。 | 連邦党 | 47 | 落選 |
| ジョージ・クリントン George Clinton1808年はマディソンの再選で、大統領選挙人票122(過半数89を大幅に超える)を得た。得票はNARA(米国国立公文書館・https://www.archives.gov/electoral-college/1808)の回次ページと、米国勢調査局『Historical Statistics of the United States, Colonial Times to 1970』Part 2 Series Y79-83(誌面1074ページ)の2出典で完全に一致する(マディソン122・ピンクニー47・クリントン6、合計175は実際に投じられた票の合計。NARAはこのほかに任命された選挙人の総数176を明記し、ケンタッキー州の選挙人1人が投票しなかったことを脚注で説明している。過半数89は176を基準に算出されている(floor(176/2)+1=89。175を基準にすると88になり、NARA自身の記載する89と食い違う)。詳しい判断根拠はrounds.tsvのnoteを参照。) NARAはこの人物の大統領候補としての立場を「Other Opponent: George Clinton [Independent D-R] (6)」と明記し、現職副大統領でありながら自身の政党(民主共和党)の公認候補マディソンに対抗して大統領選に名乗りを上げた事実上の造反候補として扱っている(米国勢調査局Series Yはこの人物の党派を「Independent-Republican」と表記しており、NARAの「Independent D-R」と符合する)。得票6はすべて地元ニューヨーク州の選挙人による(NARA州別表・Wikipedia本文「Clinton received six electoral votes for president from his home state of New York」)。本人は民主共和党副大統領候補として同時に選挙人票113を得て副大統領に再選されたが、いずれの党の公認大統領候補でもなかったため、本表では1789・1832・1872年等の前例にならい無所属として扱う。 | 無所属 | 6 | 落選 |
| 投票しなかった選挙人(ケンタッキー州選出) (elector from Kentucky who did not vote)NARAは1808年の選挙人任命総数を176とし、その内訳(Total/Majority)を「176 (175)*/89」と表記した上で、脚注に「*One elector from Kentucky did not vote.」と明記している(Wikipedia本文にも同旨の記載「One Elector from Kentucky did not vote.」があり、米国勢調査局Series Y79-83も1808年の行に候補者3名の下へ「(Not voted)」という独立した行を置き、電子票1を計上している。3出典が一致)。過半数89はfloor(176/2)+1で算出されており(175を基準にすると88)、NARA自身がこの過半数の分母に176(投票しなかった1人を含む数)を使っていることが明らか。この事実関係は、1832年メリーランド州(選挙人2人が投票行為自体を行わず、NARAの総数286人にも2人を含まない=architecture上「含まない」パターン)とは逆で、1872年(下院決議で不算入となった票でも投票行為自体は成立しており総数に含む)・2000年(白票の棄権も投票行為として総数に含む)と同じ「NARAの総数に含まれる」パターンに該当する。したがって本シリーズはelectoral_total=176とし、この選挙人1人分を候補者ではない合成行(result=対象外)として計上することで、州別・候補者別いずれの合計もNARA自身の過半数89と整合させている(判断根拠の詳細はrounds.tsvのnoteを参照)。投票しなかった理由の詳細(棄権か、単なる欠席か)は出典に記載が無く不明。 | 無所属 | 1 | 対象外 |
この回は州議会が選挙人を選んだ州と一般投票で選んだ州が混在しており、全国の得票集計が成り立ちません。選挙人票と州ごとの結果は収録しています。
州ごとの一覧
| 州 | 候補者 | 政党 | 得票数 | 選挙人票 |
|---|---|---|---|---|
| コネチカット州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 9 |
| デラウェア州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 3 |
| ジョージア州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 6 |
| ケンタッキー州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 7 |
| ケンタッキー州 | 投票しなかった選挙人(ケンタッキー州選出) | 無所属 | — | 1 |
| メリーランド州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 9 |
| メリーランド州 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 2 |
| マサチューセッツ州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 19 |
| ニューハンプシャー州 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 7 |
| ニュージャージー州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 8 |
| ニューヨーク州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 13 |
| ニューヨーク州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | ジョージ・クリントン | 無所属 | — | 6 |
| ノースカロライナ州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 11 |
| ノースカロライナ州 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 3 |
| オハイオ州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 3 |
| ペンシルベニア州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 20 |
| ロードアイランド州 | チャールズ・コーツワース・ピンクニー | 連邦党 | — | 4 |
| サウスカロライナ州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 10 |
| テネシー州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 5 |
| バーモント州州議会など、州全体で統一的な一般投票を行わない手続きで選挙人が選ばれました。 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 6 |
| バージニア州 | ジェームズ・マディソン | 民主共和党 | — | 24 |